Expand
2019年12月31日現在で公表されている新基準、新解釈指針および改訂基準(以下、基準等)について、次の(a)と(b)の2つのセクションでそれぞれ該当する基準等をまとめています。
(a) 2019年1月1日以後に開始する事業年度に適用となる新基準等
(b) 2020年1月1日以後に発効となる基準等(未発効基準等)-基準等は公表されているものの、2019年12月31日に終了する事業年度に強制適用されない基準等
(a) 2019年1月1日以後に開始する事業年度に適用となる新基準等
公表日
タイトル
重要な要求事項
発効日 *
PwC速報解説
2016年1月13日
IFRS第16号「リース」
IFRS第16号は、主に借手の会計処理に影響を与え、ほぼすべてのリースを貸借対照表上で認識することになる。本基準では、借手にとって、オペレーティング・リースとファイナンス・リースの現行の区分がなくなり、ほぼすべてのリース契約について、資産(リース項目を使用する権利)の認識および賃借料の支払に関する金融負債の認識が要求される。短期リースおよび少額リースについては、任意による免除規定を適用できる。
費用合計は、リースの前半の年度に多く、後半の年度に少なくなるため、損益計算書も影響を受ける。さらに、営業費用は利息および減価償却に置き換えられるため、EBITDAのような主要な指標が変動することになる。
リース負債の元本部分の現金払いが財務活動に分類されることから、営業活動によるキャッシュ・フローが増えることになる。利息を反映する支払の一部のみを、引き続き営業活動によるキャッシュ・フローに表示できる。
貸手の会計処理には大きな変更はない。リースの定義に新しいガイダンスが示されたことで、一定の違いが生じる場合もありうる。
IFRS第16号では、契約が対価と引き換えに特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり移転する場合、その契約はリースであるか、またはリースを含んでいる。
2019年1月1日
IFRS第15号が同時に適用される場合にのみ、早期適用が認められる
2017年6月7日
IFRIC第23号「法人所得税の税務処理に関する不確実性」
本解釈指針は、税務処理が不確実な場合に、繰延税金資産および繰延税金負債ならびに当期税金資産および負債を認識し、測定する方法について説明している。特に、以下の点について議論している。
  • 適切な会計単位をどのように決定するか、そして不確実な税務処理は、不確実性の解消をより良く予測するかによって、別々に、または一緒にグループとして考慮される。
  • 企業は税務当局が不確実な税務処理を調査し、すべての関連する情報についての十分な知識を有していると仮定しなければならない。すなわち、発見リスクは無視される。
  • 税務当局が当該処理を受け入れる可能性が低い場合、企業は不確実性の影響を法人所得税の会計処理に反映させるべきである。
  • 不確実性の影響は、不確実性の解消をより良く予測できるように、最も可能性の高い金額または期待値法を用いて測定されるべきである。
  • 行われた判断および見積りは、状況が変化した場合、または判断に影響を及ぼす新たな情報が存在する場合には、再評価されなければならない。
新たな開示要求事項はないが、企業は、財務諸表を作成する際に行われた判断や見積りに関する情報を提供するという一般的な要求事項に留意すべきである。
2019年1月1日
2017年10月12日
負の補償を伴う期限前償還要素-IFRS第9号の修正
2017年10月にIFRS第9号「金融商品」に改訂された狭い範囲の修正により、企業は、負の補償を伴う期限前償還可能な金融資産の一部を償却原価で測定することが可能になった。これらの資産は、一部の貸付金および負債性証券を含み、IFRS第9号の修正がなかったならば、純損益を通じて公正価値(FVPL)で測定されていた。
償却原価で測定するものとして適格となるためには、負の補償は「契約の早期終了に対しての合理的な補償」でなければならず、資産は「回収するために保有される」事業モデルで保有されていなければならない。
2019年1月1日
2017年10月12日
関連会社及び共同支配企業に対する長期持分-IAS第28号の修正
この修正により、実質的には関連会社または共同支配企業に対する純投資の一部を構成するが、持分法を適用しない関連会社または共同支配企業に対する長期持分の会計処理が明確になった。企業は、IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」における損失の配分および減損の要求事項を適用する前に、IFRS第9号「金融商品」に基づき当該持分を会計処理しなければならない。
2019年1月1日
2017年12月12日
IFRS基準の年次改善2015-2017年サイクル
2017年12月に、以下の改善が最終化された。
  • IFRS第3号「企業結合」-共同支配事業である事業の支配獲得は段階的に達成される企業結合であることを明確化した。
  • IFRS第11号「共同支配の取決め」-共同支配事業である事業の共同支配を獲得する当事者は、当該共同支配事業に関して以前に保有していた持分を再測定すべきではないことを明確化した。
  • IAS第12号「法人所得税」-資本に分類される金融商品に係る配当の法人所得税への影響は、分配可能利益を生み出した過去の取引または事象が認識された場所に従って認識されなければならないことを明確化した。
  • IAS第23号「借入コスト」-関連する適格資産が意図した使用または販売の準備ができた後に、特定の借入が未決済のまま残っている場合、それは一般借入の一部となることを明確化した。
2019年1月1日
2018年2月7日
制度改定、縮小又は清算-IAS第19号の修正
IAS第19号「従業員給付」の修正は、確定給付型年金制度の改訂、縮小および清算に関する会計処理を明確化している。企業が以下のことを行わなければならないことを確認している。
  • 制度改訂、縮小または清算後の報告期間の残りの期間について、変更日から最新の仮定を使用して、当期勤務費用および利息純額を計算する。
  • 資産超過の減額は、過去勤務費用の一部として、または清算損益として直ちに純損益に認識する。すなわち、資産超過の減額は、たとえ資産上限額の影響によって当該資産超過が以前に認識されていなかったとしても、純損益として認識しなければならない。
  • その他の包括利益を通じて資産上限額の変動を別個に認識する。
2019年1月1日
* 所定の日付以後に開始する報告期間に適用
(b) 2020年1月1日以後に発効する基準等(未発効基準等)
基準および解釈指針は公表されているものの、2019年12 月31日に終了する事業年度に強制適用されない基準等となります。いずれも早期適用が可能です(一部条件あり:表中の発効日欄参照)。
直近に公表された基準等の情報は、PwCのウェブサイトを参照ください。
公表日
タイトル
重要な要求事項
発効日 *
PwC速報解説
2017年5月18日
IFRS第17号「保険契約」
IFRS第17号は、IFRS第4号「保険契約」を置き換えるものとして、2017年5月に公表された。IFRS第17号は、現在測定モデルを適用して各報告期間に見積りを再測定することを要求している。契約は、以下で構成されるビルディング・ブロックに基づいて測定される。
  • 確率加重された割引後キャッシュ・フロー
  • 明示的なリスク調整
  • カバー期間にわたり収益として認識される契約の未稼得利益を表す契約上のサービス・マージン(CSM)
IFRS第17号は、割引率の変動を損益計算書またはその他の包括利益のいずれかに認識する選択を認めている。この選択は、IFRS第9号に基づき保険会社が金融資産をどのように会計処理するかを反映させる可能性がある。
損害保険会社が引き受けることの多い短期契約の残存カバー期間に係る負債については、簡素化された手数料配分アプローチを任意で適用することが認められている。
基礎となる項目から生じる収益に対して保険契約者が持分を有する、生命保険会社によって引き受けられる一部契約について、一般モデルの修正である、「変動手数料アプローチ」と呼ばれるアプローチがある。
この変動手数料アプローチを適用する場合、基礎となる項目の公正価値の変動に対する企業の持分は、契約上のサービス・マージンに含まれる。そのため、このモデルを使用する保険会社の業績は、一般モデルに基づくよりも変動性が低下する可能性が高い。
この新基準は、保険契約または裁量権のある有配当性の投資契約を発行するすべての企業の財務諸表および主要な業績指標に影響を与えると考えられる。
2021年1月1日
(2022年1月1日に延期する見込)
2018年3月29日
財務報告に関する概念フレームワークの改訂
IASBは、「概念フレームワーク」を改訂した。これは、基準設定の決定において使用されるもので、即時に発効する。主な変更点は、以下を含む。
  • 財務報告の目的における、受託責任(stewardship)の卓立性を高めること
  • 慎重性(prudence)を、中立性の構成要素として再導入すること
  • 報告企業について、法的な企業または企業の一部である可能性もあると定義すること
  • 資産および負債の定義を改訂すること
  • 認識に関する蓋然性の閾値を削除し、認識の中止に関するガイダンスを追加すること
  • 異なる測定基礎に関するガイダンスを追加すること
  • 純損益が主な業績指標であること、また、原則として、その他の包括利益に含めた収益および費用は、財務諸表の目的適合性または忠実な表現を高める場合には、純損益に振り替えるべきであることを記載すること
現行の会計基準には変更は加えられない。ただし、会計基準で取り扱われていない取引、事象または条件に関する会計方針を当該フレームワークに基づいて設定する企業は、改訂版フレームワークを2020年1月1日から適用する必要がある。企業は、改訂版フレームワークの下でも企業の会計方針が引き続き適切であるかどうかを考慮する必要がある。
2020年1月1日
2018年10月22日
事業の定義-IFRS第3号の修正
改訂された「事業」の定義においては、取得には、一緒にアウトプットを創出する能力に著しく寄与するインプットと実質的なプロセスが含まれていなければならない。
「アウトプット」という用語の定義は、範囲を修正し、顧客への財もしくはサービスの提供、投資収益や他の収益の創出に焦点を当てており、コストの低減またはその他の経済的便益という形でのリターンを除外している。
本修正により、資産の取得として会計処理される取得の数が増えることになると考えられる。
2020年1月1日
2018年10月31日
「重要性がある」の定義-IAS第1号およびIAS第8号の修正
IASBは、IFRS基準と「財務報告に関する概念フレームワーク」との間で、首尾一貫した重要性の定義を用いるように、IAS第1号「財務諸表の表示」およびIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更および誤謬」を修正した。当該修正は、情報に「重要性がある」のはどのような場合かを明確化し、IAS第1号における重要でない情報に関するガイダンスの一部を取り込んでいる。
本修正は、特に以下を明確化している。
  • 「情報を覆い隠す」という文言は、その情報を省略または誤表示するのと同様の効果を有する状況に対処するものであり、企業は、財務諸表全体の文脈において重要性があるかどうかを評価することを明確化した。
  • 一般目的財務諸表が対象とする「一般目的財務諸表の主要な利用者」について、必要とする財務情報の多くを一般目的財務諸表に依拠しなければならない「現在のおよび潜在的な投資者、融資者および他の債権者」と定義することにより、その意味を明確化した。
2020年1月1日
2019年9月26日
金利指標改革-IFRS第9号、IAS第39号およびIFRS第7号の修正
IASBは、金利指標改革(「IBOR改革」)に関連して、LIBOR等の現行の金利指標を代替的な金利に置き換える前の期間において財務報告に影響を与える論点を検討し、IFRS第9号、IAS第39号およびIFRS第7号の修正を公表した。
この修正は、ヘッジ会計に関連するものであり、IBOR改革は、通常、ヘッジ会計の終了をもたらすべきではないという内容である。しかし、ヘッジの非有効部分については、引き続き損益計算書に計上しなければならない。銀行間取引金利(「IBOR」)に基づく契約に関わるヘッジが広く存在することを考慮すると、この救済措置はすべての業種の企業に影響を及ぼすことになる。
なお、IASBは、この修正をもってプロジェクトのフェーズ1の完了とし、現在はフェーズ2に移ってLIBOR等の金利指標を代替金利に置き換える時に財務報告に影響を与える可能性のある論点の議論を行っている。
2020年1月1日
* 所定の日付以後に開始する報告期間に適用
Expand Expand
Resize
Tools
Rcl

Welcome to Viewpoint, the new platform that replaces Inform. Once you have viewed this piece of content, to ensure you can access the content most relevant to you, please confirm your territory.

signin option menu option suggested option contentmouse option displaycontent option contentpage option relatedlink option prevandafter option trending option searchicon option search option feedback option end slide