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2024年3月31日現在で公表されている新基準、新解釈指針および改訂基準(以下、基準等)について、次の(a)と(b)の2つのセクションでそれぞれ該当する基準等をまとめています。
(a)2023年4月1日以後に開始する事業年度に適用となる新基準等
(b)2024年4月1日以後に発効となる基準等(未発効基準等)-基準等は公表されているものの、2024年3月31日に終了する事業年度に強制適用されない基準等
(a)2023年4月1日以後に開始する事業年度に適用となる新基準等
公表日
タイトル
重要な要求事項
発効日 *
PwC速報解説
2017年5月18日
IFRS第17号「保険契約」
IFRS第17号は、IFRS第4号「保険契約」を置き換える基準として、2017年5月に公表された。IFRS第17号は、現在測定モデルを適用して各報告期間に見積りを再測定することを要求している。契約は、以下で構成されるビルディング・ブロックに基づいて測定される。
  • 確率加重された割引後キャッシュ・フロー
  • 明示的なリスク調整
  • カバー期間にわたり収益として認識される契約の未稼得利益を表す契約上のサービス・マージン(CSM)
IFRS第17号は、割引率の変動を損益計算書またはその他の包括利益のいずれかに認識する選択を認めている。この選択は、保険会社がIFRS第9号に基づき金融資産をどのように会計処理するかを反映するものとなる可能性が高い。
損害保険会社が引き受けることの多い適格な保険契約グループの残存カバー期間に係る負債については、簡素化された手数料配分アプローチを任意で適用することが認められている。
基礎となる項目から生じる収益に対して保険契約者が持分を有する、生命保険会社によって引き受けられる一部契約について、一般モデルの修正である、「変動手数料アプローチ」と呼ばれるアプローチがある。この変動手数料アプローチを適用する場合、基礎となる項目の公正価値の変動に対する企業の持分は、契約上のサービス・マージンに含まれる。そのため、このモデルを使用する保険会社の業績は、一般モデルに基づくよりも変動性が低下する可能性が高い。
この新基準は、保険契約または裁量権のある有配当性の投資契約を発行するすべての企業の財務諸表および主要な業績指標に影響を与えると考えられる。
2023年1月1日(2021年1月1日から延期された)
2020年6月に行われた狭い範囲の修正は、IFRS第17号の適用のコストを低減し、企業が投資家などに同基準書の適用の結果を説明しやすくすることによって適用の負担緩和を目指したものである。また、本修正は、IFRS第17号の適用日を2023年1月1日に延期した。
2021年12月に行われたさらなる修正は、IFRS第17号の適用開始時に表示する比較期間において任意の分類の上書きの適用を認める経過措置の選択肢を追加した。この分類の上書きは、IFRS第17号の範囲に含まれる契約と関連がない活動に関して保有されている金融資産を含む、すべての金融資産に適用される。これらの資産は、比較期間において、IFRS第9号「金融商品」の適用時に当該金融資産の分類について企業が想定する方法と整合するように分類することが認められる。当該分類は金融商品ごとに適用することができる。
2021年2月12日
会計方針の開示-IAS第1号「財務諸表の表示」及びIFRS実務記述書第2号「重要性の判断の行使」の修正
IASBは、「重要な(significant)」会計方針ではなく、「重要性がある(material)」会計方針情報を開示することを企業に求めるため、IAS第1号「財務諸表の表示」を修正した。本修正は、「重要性がある会計方針情報」とは何か(すなわち、企業の財務諸表に含まれている他の情報と合わせて考えた場合に、一般目的財務諸表の主要な利用者が当該財務諸表に基づいて行う意思決定に影響を与えると合理的に予想し得る情報)を定義し、会計方針情報に重要性がある場合の識別方法を説明している。さらに、本修正は、重要性がない会計方針情報を開示する必要がないことを明確化している。ただし、そのような情報を開示する場合には、重要性がある会計方針情報を覆い隠すことがあってはならない。本修正を支援するため、IASBはIFRS実務記述書第2号を修正し、重要性の概念を会計方針の開示に適用する方法についてのガイダンスも提供している。
2023年1月1日
2021年2月12日
会計上の見積りの定義-IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」の修正
IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」の修正は、企業が会計方針の変更を会計上の見積りの変更とどのように区別すべきかを明確化している。会計上の見積りの変更は、将来の取引およびその他の事象を対象として将来に向かって適用されるが、会計方針の変更は、通常は、当期だけではなく過去の取引およびその他の事象を対象として遡及適用されるため、この区別は重要である。
2023年1月1日
2021年5月10日
単一の取引から生じる資産及び負債に関連する繰延税金-IAS第12号「法人所得税」の修正
IAS第12号「法人所得税」の修正は、企業に対し、当初認識時に同額の将来加算一時差異および将来減算一時差異が生じる取引について繰延税金を認識することを要求している。本修正は、通常、借手にとってのリースや廃棄債務などの取引に適用され、追加的な繰延税金資産および繰延税金負債の認識が要求されることになる。
本修正は、表示されている最も古い比較期間の期首時点以降に発生した取引に適用すべきである。さらに、以下に関連するすべての将来減算一時差異および将来加算一時差異について、表示されている最も古い比較期間の期首に繰延税金資産(利用できる可能性の高い範囲内で)および繰延税金負債を認識すべきである。
  • 使用権資産およびリース負債
  • 廃棄、原状回復および類似の負債ならびにそれらに対応して関連資産の取得原価の一部として認識された金額
これらの修正の認識による累積的影響は、利益剰余金の期首残高または、適切な場合にはその他の資本の構成要素で認識される。
これまで、IAS第12号は財政状態計算書に計上されるリースおよび類似の取引の税効果の会計処理方法を取り上げておらず、多様な方法が容認可能とみなされていた。一部の企業では、このような取引をすでに新たな要求事項に整合する方法で会計処理している可能性がある。このような企業には本修正の影響はない。
2023年1月1日
2023年5月23日
IAS第12号の修正-国際的な税制改革(OECDの第2の柱モデルルール)
2021年12月、経済協力開発機構(OECD)は、国際的な法人課税を改革するための第2の柱モデルルール(グローバル税源浸食防止案、いわゆる「GloBE」)を公表した。本ルールの範囲に含まれる大規模多国籍企業は、事業を営む国・地域ごとにGloBE実効税率を計算することが要求される。多国籍企業は、各国・地域のGloBE実効税率と15%のミニマム税率との差異について、トップアップ税を支払う義務が生じることになる。
2023年5月、IASBは、OECDが公表した「第2の柱」モデルルールを導入するために制定または実質的に制定された税法(当該ルールに記載される適格国内最低トップアップ税を導入する税法を含む)から生じる繰延税金の認識および開示の要求事項に、一時的な救済を提供するIAS第12号の狭い範囲の修正を行った。
また、本修正は、影響を受ける企業に対して以下の開示を要求している。
  • 第2の柱の法人所得税に係る繰延税金資産および繰延税金負債に関する認識および情報の開示に対する例外規定を企業が適用している旨
  • 第2の柱の法人所得税に関連する当期税金費用(該当ある場合)
  • 法律が制定または実質的に制定されてから発効するまでの期間に、当該法律から生じる第2の柱の法人所得税に対する企業のエクスポージャーについて財務諸表利用者が理解するのに役立つ既知の情報または合理的に見積可能な情報を開示する。この情報が既知または合理的に見積可能でない場合、企業は、代わりにその旨の記述およびエクスポージャーの評価の進捗に関する情報を開示することが要求される。
**本修正は、現地の承認プロセスに従って、公表後直ちに適用され、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って遡及適用することが要求される。既知または合理的に見積可能な第2の柱の法人所得税のエクスポージャーに関する開示は、2023年1月1日以後に開始する年次報告期間についてのみ要求され、2023年12月31日以前に終了する期中報告期間に係る期中財務報告書においては開示する必要はない。
左に記載の一部の開示項目**を除き、即時適用。
*所定の日付以後に開始する報告期間に適用
(b)2024年4月1日以後に発効する基準等(未発効基準等)
基準および解釈指針は公表されているものの、2024年3月31日に終了する事業年度に強制適用されない基準等となります。いずれも早期適用が可能です。
直近に公表された基準等の情報は、PwCのウェブサイトhttps://viewpoint.pwc.com/ を参照ください。
公表日
タイトル
重要な要求事項
発効日 *
PwC速報解説
2020年1月23日
負債の流動又は非流動への分類-IAS第1号の修正(「2020年修正」)
2020年および2022年に行われたIAS第1号「財務諸表の表示」の修正は、報告期間の末日時点に存在する権利により、負債を流動または非流動のどちらに分類するのかを明確化した。この分類は、企業の期待または後発事象(例:請求権放棄の獲得または財務制限条項への抵触)による影響を受けない。
企業が報告日よりも後にのみに遵守しなければならない融資契約の特約条項は、報告日現在の負債の流動または非動への分類に影響を与えない。しかし、企業が報告日以前に遵守しなければならない特約条項は、たとえ特約条項の遵守の評価が企業の報告日後に行われる場合でも、流動または非流動の分類に影響を与えることになる。
本修正は、企業が、融資契約から生じた負債を非流動に分類し、その負債について企業が報告日後12か月以内に特約条項を遵守することが要求されている場合に開示を要求している。これには次の情報が含まれる。
  • 負債の帳簿価額
  • 特約条項に関する情報
  • 企業が特約条項を遵守することが困難となる可能性があることを示唆する事実および状況(ある場合)。
また、本修正は、IAS第1号が負債の「決済」と言及しているのはどのような場合なのかについても明確にしている。相手方の選択により、企業自身の資本性金融商品の移転によって決済される可能性のある負債の条件は、企業がそのオプションを資本性金融商品として分類している場合にのみ、負債を流動または非流動に分類する目的上は無視することができる。しかし、負債に分類している転換オプションは、転換社債の流動または非流動の分類の決定において考慮されなければならない。
本修正は、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」の通常の要求事項に従って遡及適用しなければならない。企業が負債の流動または非流動への分類に関する2020年の修正を早期適用している場合には、特別な経過措置が適用される。
2024年1月1日
2022年10月31日
特約条項付の非流動負債-IAS第1号の修正(「2022年修正」)
2022年9月22日
セール・アンド・リースバックにおけるリース負債-IFRS第16号「リース」の修正
2022 年 9 月、IASB は、企業がセール・アンド・リースバックを取引日より後にどのように会計処理するかを説明する、IFRS 第 16 号におけるセール・アンド・リースバック取引に関する要求事項の狭い範囲の修正を最終化した。
本修正は、セール・アンド・リースバックの後のリース負債の測定において、売手である借手は、売手である借手が保持した使用権に係る利得または損失の金額を認識しない方法で「リース料」および「改訂後のリース料」を決定することを明確化している。これは特に、リース料が指数又はレートに応じて決まるものではない変動リース料を含むセール・アンド・リースバック取引に影響を与える可能性がある。
2024年1月1日
2023年5月25日
サプライヤー・ファイナンス契約-IAS第7号及びIFRS第7号の修正
IASBは、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」およびIFRS第7号「金融商品:開示」が要求する情報は利用者の情報ニーズを満たすには不足であるというIFRS解釈指針委員会へのフィードバックを受け、サプライヤー・ファイナンス契約(SFA)についての新しい開示要求事項を公表した。
新しい開示の目的は、SFAが企業の負債、キャッシュ・フローおよび流動性リスクに与える影響を評価できるよう、SFAについての情報を提供することである。新たな開示では以下についての情報が提供される。
(a) SFA の契約条件
(b) SFA の一部である金融負債の帳簿価額および当該負債が 表示される勘定科目
(c) 上記(b)の金融負債のうち、仕入先が資金供給者からすでに 支払を受けている金融負債の帳簿価額
(d) SFA の一部である金融負債と比較となる SFA の一部では ない買掛金の両方の支払期日の範囲
(e) 上記(b)の金融負債の帳簿価額の非資金変動
(f) SFA 枠の利用状況および資金供給者への流動性リスクの 集中
IASBは、適用初年度について、比較情報および特定の期首残高の開示を要求しない救済措置を提供した。さらに、要求される開示は適用初年度のみについて適用される。したがって、最も早く新たな開示を行わなければならないのは、企業が12カ月よりも短い事業年度である場合を除き、2024年12月31日に終了する事業年度となる。
2024年1月1日
2023年8月15日
IAS第21号の修正 -交換可能性の欠如
企業が、特定の目的のために、測定日において他の通貨に交換可能でない外貨による取引を行っている、または在外営業活動体を有している場合に、本修正による影響を受ける。ある通貨は、企業が通常生じるであろう手続上の遅延があったとしても他の通貨を入手する能力があり、かつ、強制可能な権利および義務を生じさせる市場または交換メカニズムを通じて交換取引が行われる場合には、当該他の通貨に交換可能である。
2025年1月1日
* 所定の日付以後に開始する報告期間に適用
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